自動売買の販売に関わる法律について徹底解説

自動売買システムの販売は金融商品取引法「投資助言・代理業」に該当しないのでしょうか?

日本には投資に関して誤ったアドバイスや取引から投資家を守る法律が存在します。

自動売買システムを悪用した詐欺行為が増加しているなかで、販売業者は「投資助言・代理業」ではなく、「ソフトウェア販売」だと主張するケースが多く、線引きが曖昧です。

この記事では、自動売買ソフトの販売が法律上どのような位置付けをされているのか、詳しく解説します。

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目次

自動売買システムについて

自動売買システムの販売に関する解説に入る前に、まずは自動売買システムがどのような仕組みであるかを紹介します。

自動売買システムの仕組み

自動売買システムは、あらかじめ設定した売買ルールにしたがってプログラムが自動で取引をしてくれるツールです。

プログラムが24時間自動で取引を行なってくれるため、取引チャンスを逃さなくなります。

また、感情を挟まずに取引ができるため、投資初心者の方にも人気のシステムです。

自動売買システムの種類

自動売買システムは大きく2つのタイプに分かれます。

「自作タイプ」と「既製品タイプ」です。

自作タイプのシステムでは、Pythonなどのプログラミング言語を使って、自分で売買ルールや戦略を構築します。

完成したシステムで、APIを通して取引所のシステムと連携し、取引します。

一方、既製品タイプは自動売買ツールを専門に扱う業者から購入します。

ツールを購入後、MT4などのプラットフォームに導入することで、簡単に自動売買ができます。

最近では、証券会社などが提供するツールも人気を集めています。

これらのツールは、用意されたテンプレートから売買ルールを選ぶだけで取引が可能で、初心者にも使いやすいのが特徴です。

金融市場における自動売買システムの進化

近年、テクノロジーとコンピューターの進化により、自動売買システムは大きく進歩しました。

特に、メタトレーダー社が提供する取引プラットフォーム「MT4」の登場により、一般のユーザーでも簡単に自動売買を導入できるようになりました。

そのため、多くの販売業者がMT4に適合する自動売買システムを販売しています。

自動売買システム販売に関する法律

自動売買ソフトの販売が合法かどうかは、金融商品取引法「投資助言・代理業」に該当するかどうかが焦点になります。

投資助言・代理業

有料で投資に関するアドバイスや取引を代行するには登録が必要です。

金融商品取引法上の投資助言・代理業に該当するためです。

投資助言とは、「顧客に対して投資顧問契約に基づき、有価証券の価値など又は金融商品の価値など(デリバティブ取引を含む)の分析に基づく投資判断に関し、助言を行うもの」とされています。

代理業とは「投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介を行うもの」です。

自動売買ソフトの販売が合法かどうかは、これらの業務に含まれるかどうかです。

自動売買システムの販売に関して

自動売買システムの販売自体は、プログラムが事前に設定した取引ルールにしたがって自動取引しているだけのものなので、助言や代理業に該当しないと考えられています。

また、取引ルール自体は過去に作成されたロジックをプログラムにしたものであり、具体的な売買の指示が含まれていません。

ただし、金融商品取引上に該当しなくても、「ソフトウェア販売業」としての登録が必要な場合があります。

この場合も、登録をせずに販売した場合は違法となる可能性があります。

投資助言・代理業に該当するケース

これまでのケースから、投資助言・代理業に「該当する場合」と「該当しない場合」を分けてみました。

投資助言・代理業に該当しない

  • 開発・利用
  • 無料で提供
  • 販売(販売後のサポートなし)

投資助言・代理業に該当する

  • 会員制での販売、又はレンタル
  • 販売後、使い方や継続的なサービス提供

会員制のオンラインサロンなどで販売や情報配信に関して

最近はインフルエンサーが会員制オンラインサロンに入会した人限定で自動売買システムを販売したり、投資に関する情報を発信することが増えています。

このような場合、投資助言・代理業に該当する可能性があります。

ただし、オンラインサロン入会者に無料で自動売買システムを提供し、取引に関する売買判断を行わないような場合は、問題がないケースとなります。

自動売買システム購入に関して

SNSなどで勧誘されて実際に自動売買システムを購入してしまった場合、どうなるのでしょうか?

以下に解説します。

自動売買システムはクーリングオフができない?

自動売買システムの販売は、「特定商品取引法の通信販売」に該当し、クーリングオフが適用されない可能性があります。

クーリングオフは販売側から訪問や電話勧誘などで接触してきた契約が対象になります。

自動売買システムは通常、Webサイトなどでよく考えた上で購入できるため、クーリングオフの対象外です。

返品を希望する場合は、販売業者独自の規定を確認する必要があります。

特定商取引法とは

特定商法取引法とは消費者トラブルが生じやすい取引を対象とし、消費者の利益を守る法律です。

一般的にWebサイトで商品を販売する場合、特定商取引法の記載が義務付けられています。

もし自動売買システムの購入を考えている場合、特定商取引法の記載があるかどうかも確認してみましょう。

自動売買システム購入の際は事前にしっかり調査しましょう

信頼できる自動売買システムを購入するために、以下のポイントを確認しましょう。

  • 投資助言・代理業への登録があるかどうか
  • 特定商取引法に基づく表記が記載されているか
  • 返品規約の内容が明確か
  • 販売者の情報が正しいかどうか

自動売買詐欺ツールの特徴

最近では、自動売買ツールを使った詐欺がさまざまな形で増加しています。

以下のようなケースがあります。

無名な海外口座を指定してくる

自動売買ツールの販売者から海外の口座を入金先として指定されることがあります。

入金した資金を引き出せなくしたり、ユーザーを自動売買ではなくコピートレードに誘導して、利益をなくしてしまう手口が増えています。

このような場合は、販売者が裏で取引所と結託している可能性があります。

もし聞きなじみのない取引所を指定された場合は、その取引所のホームページでライセンス情報を確認することが重要です。

そしてSNSなどで取引所の情報を検索し、安全性を調査しましょう。

SNSで自動売買ツールの勧誘

SNSで派手な生活や利益確定のスクリーンショットを投稿して、大きく稼いでいる印象を与えて勧誘します。

しかし、これらの投稿の多くにはアフィリエイトリンクが含まれており、ユーザーがリンクを通じて自動売買ツールを購入すると、販売者に報酬が支払われます。

利益確定の画面などは簡単に偽造できます。

実際にツールを購入する前に内容を十分に調査し、安全性を確認することが大切です。

過剰なセールストーク

市場には、「放置するだけで月利30%を保証」というような内容を謳った高額投資ツールが多数あります。

ただし、投資には絶対の保証がないことを忘れてはいけません。

販売業者の過剰なセールストークに惑わされず、利益を追求するよりも、減らさないことを最優先に考えましょう。

まとめ

自動売買システムの販売自体に問題はありませんが、販売方法やサポート内容によっては、金融商品取引法や特定商取引法が関係してくることがあります

しっかり調査してから購入しましょう。

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