自動売買の両建ては稼げるのか?現役裁量トレーダーが解説

「自動売買で両建てをしたいけどやり方が分からない」「そもそも両建ては何のためにするの?」といった疑問点を抱く方もいるはずです。

今回は、両建ての基礎知識とメリット・デメリットについて紹介します。自動売買で両建てする方法も解説するので、見ていきましょう。

シロクマ専業トレーダー
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目次

FXの両建てとは

FXの両建て

両建てとは、買い玉と売り玉の両方のポジションを保有することです。

一般的には片方の建玉を保有して利益を狙うのですが、予測通りに値動きするとは限らないので、場合によっては損失が膨れ上がってしまいます。

この損失額のカバーをするのが両建ての役目であり、タイミングを見計らって決済すれば効率良く利益を出すことが可能となります。

両建てのメリットとデメリット

メリットとデメリット

損失拡大を防げる

両建てを活用することで、損失拡大を防げます。なぜなら、一時的に大きな値動きがあっても理論上損失がないからです。

なかでも、有効活用しやすいのは以下の2パターンです。

  • すでに片方のポジションを保有している時
  • トレンドの予測がつきにくい時

例として、含み益のある買い玉を保有していた時に、一時的に価格が下がると予測できる場面があるとします。

ここで売り玉を注文し、レートが戻ってから決済すれば、買い玉の含み益をそのままにして損失リスクのみカバーできます。

また、一時的にどちらに傾くか判断つきにくいとしましょう。

ここで両建てを活用し、予測の判断ができた時に片方の建玉を決済すれば、損失拡大を防ぎつつ利益の確保が可能です。

特に、経済指標の発表時や重要人の発言などがある時には値動きが大きくなりやすいので、リスク管理のために効果的といえます。

含み損を減らせる

含み損が膨れ上がりそうなタイミングで両建てすれば、リスクを最小限に抑えることが可能です。

例えば、140円で買い注文した場合、135円に下がると5円×通貨分の含み損が出てしまいます。

ただし、138円の時点で売り注文も保有していれば、理論上の含み損は2円分しかありません。

含み損が減るほど利益のチャンスが出るまで耐えられるので、両建てはリスク管理に効果的といわれています。

取引コストがかかる

最大のデメリットは、取引コストがかかってしまうことです。

両建てをすればかかるスプレッドは2倍になるので、事前に利確ラインが計算できていないといつまで経ってもプラスに転じない可能性が出てきます。

さらに、スワップポイントが同額ではない業者を利用している場合、保有している期間内は差額分を支払い続けなければなりません。

長期保有になるほど高額になるので、最悪のケースではスワップポイントで損してしまう可能性も出てくるでしょう。

工夫すれば利益が出しやすい両建てですが、FXの仕組み上では損する手法と言われている理由の1つです。

ロスカットリスクが高まる

資金が少ない状態で両建てすると、ロスカットリスクが高まります。ポジションを多く保有するほど、証拠金が必要になるからです。

なかには買い玉と売り玉の比率が高い方のみ証拠金が適用されるFX業者もありますが、両建てしたポジションの両方にかかる場合は注意しておかなければなりません。

さらに、資金が少なすぎると新規ポジションを注文できない可能性があるので、両建てにおける証拠金の条件は事前にチェックしておきましょう。

両建てを自動売買するには

自動売買

両建てを自動売買するには、買い玉と売り玉の自動注文を設定する必要があります。

利用するツールや性能で設定方法が若干異なりますが、基本となる流れは以下の通りです。

  1. 対象通貨を決定
  2. 買い玉(売り玉)の注文レートを設定
  3. 取引単位を設定
  4. 利確・損切値を設定

ツールによっては両建てのON/OFFを切り替えられる機能が付いているので、簡単設定で行いたい方は利用してみると良いでしょう。

そして、設定する際に難しいのが資金のバランスです。

例えば、取引本数が多すぎると、決済値次第で建玉を保有したままになるので、証拠金不足になって新規注文ができない可能性が出てきます。

さらに、スプレッドやスワップポイント次第で利確・損切値の設定が変動し、トレンドの予測次第で建玉の比率も変わってきます。

一旦稼働させたら24時間取引を続けるので、設定を誤るとリスクへと変わりかねません。

FXの計算ツールを活用し、シミュレーションを行ったうえで運用していきましょう。

両建てする前に踏まえておくべき基礎知識

ポイント

賛否両論ある

両建ては賛否両論あるので、必ずしも自分の取引スタイルに適するか分かりません。

事実、リスク管理に適しているとはいえ、スプレッドやスワップポイントなどの取引コストの観点で見ると損しか生まれないのが両建てです。

さらに、未経験者が単純に取引を進めるだけだと利益が減少するだけになりかねません。

プラスに転じさせるには細かな計算と工夫が必要になるので、FXの知識を持ち合わせた上級者じゃないと両建てのメリットを活かすのは難しいでしょう。

とはいえ、状況に応じて両建てを活用するのは初心者でも十分に可能です。

いきなり自動売買の仕組みとして取り入れるのではなく、裁量取引やデモ取引で経験を積んでから両建てを使うか否か決めてみてください。

禁止されている業者がある

両建てを禁止している業者があるので、利用前には必ず規約に目を通しておきましょう。

また、認められている業者でも、以下の行為は禁止されているケースがあります。

  • 複数口座による両建て
  • 別口座間での両建て
  • ボーナスを利用した両建て
  • ゼロカットを目的とした両建て

一般的には、国内FXは両建てを認めているケースが多いです。

一方で、海外FXはそもそも両建てを禁止している、または上記に当てはまる行為のいずれかを禁止している場合があります。

違反してしまうと取引が制限され、最悪のケースでは出金ができなかったり、アカウントが凍結したりするかもしれません。

バレなければ良いと軽い気持ちで行うのはリスクが高いので、必ず認められている業者で行うようにしましょう。

基本は推奨されていない

基本的に、どのFX業者も両建てを推奨していません。理由としては、損失リスクが高まるからです。

そもそも国内FXは、利用者の損失が膨れ上がらないようレバレッジや証拠金維持率などの制限が厳しくなっています。

同様に両建てもリスクのある取引になってしまうので、ほとんどの業者が注意書きとして「推奨しない」と記載しています。

さらに、プロトレーダーも両建てを勧めている方は少ないです。

あくまで戦略の1つであって、積極的に活用するほど大きなメリットはなく、取引スタイルに合ったトレーダーのみが活用しているくらいでしかありません。

なかには最強の手法と断言しているトレーダーもいますが、信用して大損した方もたくさんいるので、仕組みを詳しく理解したうえで運用に取り入れるよう心がけてください。

まとめ

FXの知識がある中級者・上級者は両建てによる稼げる仕組みを作っていけるかもしれませんが、初心者が自動売買に取り入れるのはあまりおすすめできません。

とはいえ、両建ての知識を深め、効率良く使いこなせるなら戦略の1つとしてメリットは大きいです。

そのため、まずは基本となる取引スタイルを確立し、裁量取引で経験を積んでいきましょう。

その結果、自分なりの手法で稼げると判断できた場合は、少額に設定したうえで自動売買に取り入れてみてください。

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